2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

シネマヴェーラ/フォード特集『周遊する蒸気船』(1935)

シネマヴェーラでジョン・フォード『周遊する蒸気船』(1935)を見てきた。 上映前には蓮實重彦氏のトークが20分ほどあった。『周遊する蒸気船』には二人の「インディアン」がかかわっているという。もちろん「インディアン」という名称は現在使うことのできな…

ハル・フォスター『What Comes After Farce?』(2020)を読む4

第一部「恐怖と侵犯」の末尾におかれた第6章のポール・チャン論を見てみよう。 Paul Chan《Rhi Anima》 2017年3月、チャンはニューヨークの個展で《Rhi Anima》を発表した。https://www.artnet.com/galleries/greene-naftali-gallery/paul-chan-rhi-anima/ …

Martha Rosler Reads Vogue(1982)

北千住BOuy「Bedtime for Democracy」( https://buoy.or.jp/program/bedtime-for-democracy/ )にて、マーサ・ロスラー《マーサ・ロスラー、ヴォーグを読む Martha Rosler Reads Vogue》(1982)を見てきた。 1981年に設立されたニューヨークのケーブルチャ…

ハル・フォスター『What Comes After Farce?』(2020)を読む3

フォスターは本書の序盤で2011-12年のMoMA PS1の展覧会「September 11」に触れ、「今日の美術鑑賞のモードは情動的なものと化している」と指摘している。フォスターによれば、カントは「作品は美しいか」という古代からの問いを立て、デュシャンが「作品は芸…

ハル・フォスター『What Comes After Farce?』(2020)を読む2

フォスターはトランピズムの分析にあたって、ペーター・スローターダイクの『シニカル理性批判』(1983)を取り上げる(「第5章 原父トランプ(pere Trump)」)。 フォスターはここで参照していないが、『シニカル理性批判』が手元にないので、ジジェク『イ…

ハル・フォスター『What Comes After Farce?』(2020)を読む1

ハル・フォスターはマルクスが『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』に記した次の有名な一説を引用から始めている。 「ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。彼はこう付け加えるのを忘れた。一…